2020年5月31日

保険診療としての「オンライン診療」の概要

保険診療として「オンライン診療」を実施するには以下の条件・規定があります。

(*バイアグラやプロペシア処方等自費診療では適応されません)

<前提条件>

慢性疾患で定期的な通院が必要な患者さんが、明確な理由により定期的通院が困難になった場合に、患者さんの同意の元実施されます。

明確な理由が必要で、単に患者さんの希望ではオンライン診療は適応されません

明確な理由の例;○兄弟が生まれて保護者が定期的な受診が難しくなった○転居によりクリニックへの通院に時間がかかるようになった○学年が上がり診療時間内での定期的通院が難しくなった○引きこもりや不登校で通院自体が病状を悪化させる要因になると考えられる等


<導入条件>

慢性疾患で過去3か月以上連続で受診している患者さんが、その慢性疾患に対してのみオンライン診療が可能となります。ただしオンライン診療を担当する医師はそれまで対面診療を行った医師に限られます。オンライン診療を導入後も連続2回までしかオンライン診療は受けられません

(連続する3回に1回は対面診療が必要です)

対象疾患は慢性疾患の中で小児科療養指導料、特定疾患療養指導料、てんかん指導料、在宅時医学総合管理料等の適応となる疾患に限られます。

  • 小児科関連;脳性麻痺、染色体異常、ネフローゼ症候群、先天性心疾患、腎炎、血友病、小児慢性特定疾患に分類される疾患等

  • 一般;高血圧、不整脈、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管支喘息、胃潰瘍、思春期早発症、慢性膵炎、肝疾患等

  • 禁煙外来

  • 慢性頭痛(R2年4月に適応追加)

*アレルギー分野では気管支喘息のみ適応でアレルギー性鼻炎(舌下治療含む)やアトピー性皮膚炎等は適応外となります。

*小児も夜尿症やADHD、アスペルガー症候群、自閉症スペクトラム等は適応外です。


<実施条件>

医師は対象疾患に対しての治療計画をあらかじめ患者さんに提示し、患者さんがそれに同意し署名する必要があります。

オンライン診療では原則として以前の対面診療時と同様の処方を行います。状態変化等で処方薬の変更や追加が必要と医師が判断した場合は速やかに対面診療を行っていただきます。

(原則としてオンライン診療での処方薬変更はできません

オンライン診療中に対象疾患ではない新たな疾患の可能性が見つかった場合は、医師は改めて対面診療してその疾患に対応するかあるいはその疾患の専門医に受診するよう指示します。

(オンライン診療で新たな処方は出来ません

患者さんは原則として居宅(自宅や老人ホーム等)でオンライン診療を受けますが、医師の許可なく第3者を立ち会わせることはできません。また職場などで受けることも可能ですが、その場合もプライバシーが侵害されないような個室で受けることが必要です。

医師、患者さんともに相手方の許可なく診療内容の録画、録音することはできません。

オンライン診療に用いられるICTはリアルタイムに音声、画像を同時に通信できるもの と規定されています。従って電話やチャット等ではICTとしては不適格で利用できません。

*ICT(情報通信機器)に関して(補足)

オンライン診療に用いることが出来るICTは以下の2種類に分けられます。

①オンライン診療用アプリ;ヤ―ドック、クロン、メドレー等

②汎用アプリ;ZOOM、スカイプ、LINEビデオ等

①はオンライン診療用に開発されたアプリで医療情報漏えい防止や個人情報保護のためのセキュリティーシステムが厚労省の安全基準に合致しています。万一事故が起きた場合、原因によってはICT業者も責任を負う契約になっています。

(このため②を使用する場合と違い、情報通信機器使用料が別途(自費)かかります)

それに対して②はICT業者は全く責任を負う必要がないため、事故が起きた場合原因によって医師及び患者さんに全責任がかかってきます。

以上の観点からオンライン診療には①のICTを使用することを強く推奨します(厚労省)

(当院は①のアプリであるヤ―ドックのシステムを採用しています)