お知らせ・ときえだ通信

illusts01.png

新型コロナウイルス 小児が軽症な理由<新しい知見>

新型コロナウイルス感染は小児や若年者では重症化が稀である、ということは分かっています。この理由として①コロナウイルスが感染するときにACEというたんぱく質を介するためこの濃度に年齢差が関係している、②類縁の軽症コロナウイルス(いわゆるかぜ症候群)に対する抗体の保持率が小児ほど高いため、それが予防的に働いている、等の報告(論文)があります。①に関しては欧米とアジアでの流行状況や重症度の差の説明にはなりますが(欧米人とアジア人ではACEの平均発現率と型に違いがある)、年齢差の説明にはなりにくいと考えられます。②についても若い人や小児の抗体保有率は数%高いだけなので果たしてこれだけで圧倒的に低い小児の重症化率の説明にはなりにくいと考えられます。

今回報告されたのは、③獲得免疫説です。病原体が体内に侵入したときにその病原体に対して初期の免疫反応が起こります。もともと備わった免疫反応でマクロファージやNK細胞、最近分かってきた自然リンパ球がこの反応を担っています。この反応を自然免疫と言います。それに対してより強力に病原体を排除するメカニズムを獲得免疫と言います。これに関与するのがB細胞やT細胞で抗体産生やサイトカイン産生を通じて全身の免疫反応を総動員して病原体の排除を行います。小児はこの獲得免疫系が未熟なために病原体排除は自然免疫系が主体となって行います。成人ではこの強力な獲得免疫が主体となって働くのです。この強力すぎる免疫反応が自己の身体を攻撃することが重症化の要因であると推論しています。SARSウイルスなどで抗体依存性感染増強(抗体が存在することがかえって感染を悪化させる現象)が報告されていることもこの説を裏付ける根拠になっています。

最新記事

すべて表示

医療の進歩の功罪~気管支喘息の診断が難しくなりました~

20年前に私が横浜市民病院に勤務していたころ、毎年1人は気管支喘息の大発作で緊急入院し、「喘息」が原因でお亡くなりになった患者さんがいました。また当時夜間や休日当直をしていると毎回複数の喘息患者さんが来院され1/3程度が入院するような状況でした。ところが、今や当直をしていても喘息発作で来院される患者さんがほとんどいなくなりました(ましてや入院する患者さんは年に数人程度まで激減しています)。この理由

新型コロナウイルス感染症検査の解説

新型コロナウイルス感染症を診断する代表的な検査に(1)抗原検査、(2)PCR検査、(3)抗体検査がありますが、どのように使い分けるのか解説します。 (1)新型コロナウイルス抗原検査;インフルエンザの迅速検査同様に約30分で結果が出ます。ただし、ある程度コロナウイルスが多量に存在している状態でないと検出できませんので発症後2日から9日間の間に限り検査できます。発熱や咳等の症状がある方でその期間に該当

インフルエンザ予防接種を今年はぜひ接種しましょう

令和2年8月3日日本感染症学会から~秋から冬にかけての新型コロナウイルス対策~の提言が出されました。毎年この時期季節性インフルエンザが流行します。新型コロナウイルスの流行が重なると様々な困難な状況が予想されることから医療現場を中心とした対策の提言です。まず発熱した患者さんがコロナウイルス感染の可能性がある限り医療者は完全防備でインフルエンザの検査を行わなくてはなりません。今でさえ一般の開業医の中に